生命保険料控除証明書を紛失したら、控除を受けられないのではないかと不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
控除証明書を紛失したとしても、保険会社に依頼すれば再発行してもらえます。
ただし、再発行の手続き方法や証明書が発送されるまでの期間は、保険会社によって異なるので、早めに準備を始めることが大切です。
そこで今回は、生命保険料控除証明書がないときの対処法を紹介します。
証明書が間に合わなかったときの対処法も紹介するので、生命保険料控除を利用したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

生命保険料控除を受けるには控除証明書が必要

生命保険料控除を受けるには、年末調整・確定申告の際に「生命保険料控除証明書」を添付する必要があります。
控除証明書は、基本的に加入している保険会社から発行されます。
生命保険料控除とは、生命保険や介護医療保険、個人年金保険の支払いをした場合に、所得金額から差し引かれる所得控除です。
控除額は、年間の支払保険料や保険の契約時期に応じて異なります。
2012年1月1日以降に契約した保険に対する控除額は以下の通りです。
年間の支払保険料等 | 控除額 |
2万円以下 | 支払保険料等の全額 |
2万円超4万円以下 | 支払保険料等×1/2+1万円 |
4万円超8万円以下 | 支払保険料等×1/4+2万円 |
8万円超 | 一律4万円 |
生命保険料控除を利用すれば、所得税や住民税の節税効果が見込めるため、証明書を準備して適切に申告を済ませましょう。
生命保険料控除証明書はいつ郵送される?

生命保険料控除証明書は、毎年10月中旬以降に郵送されるケースが多いです。
発送時期を過ぎているにもかかわらず届かない場合は、以下のようなことが考えられます。
- 9月分保険料の支払いが済んでいない
- 引っ越しをしたが、住所変更をしていない
- 一時払いで支払っている
- 保険料を給与天引きにしている
生命保険料控除証明書は、その年の1月から12月の間に保険料を払い込んだ際に発行されます。
そのため、払い込み方法が「一時払い」の場合は、契約した年のみの発行となります。
保険料を給与天引きしている場合は、直接勤務先に発行している可能性が高いです。
発送時期は保険会社によって異なるので、ホームページで確認しておきましょう。
生命保険料控除証明書がないときの対処法

生命保険料控除証明書がないときは、保険会社に再発行を依頼したり、控除証明書電子交付サービスを利用したりしましょう。
ここでは、控除証明書がないときの対処法を紹介します。
保険会社に再発行を依頼する
生命保険料控除証明書は、保険会社に再発行を依頼できます。
多くの保険会社では、電話やインターネットで簡単に再発行の手続きができます。
手続きから再発行された証明書が届くまでは、数日から10日前後かかる場合があるので、余裕をもって手続きを進めましょう。
再発行の手続き手順や証明書が届くまでの日数は、保険会社によって異なります。
年末調査や確定申告に間に合わせるためにも、紛失に気付いたらすぐに再発行を依頼しましょう。
控除証明書電子交付サービスを利用する
控除証明書電子交付サービスとは、マイナポータルサイト経由で控除証明書の電子データを取得できるサービスです。
電子データは、保険会社のマイページまたはマイナポータルで取得できるのが一般的です。
勤務先指定のソフトで年末調整をする場合や、e-Taxで確定申告をする場合は、電子データを活用するのがおすすめです。
ただし、電子データの発行に対応していない保険会社もあるので、対応可否を確認しておきましょう。
生命保険料控除証明書が間に合わなかった場合の対処法

年末調整や確定申告の時期に、生命保険料控除証明書の取得が間に合わなかった場合でも、適切な手続きをすれば控除を受けられます。
生命保険料控除証明書の取得が間に合わなかったときの対処法を会社員と個人事業主に分けて紹介します。
会社員の場合
年末調整までに控除証明書が間に合わなかった場合は、還付申告をすることで控除を受けられます。
年末調整で申告できなくても、還付申告で証明書を提出して控除申告をすれば、生命保険料控除の適用が受けられます。
期間は、還付申告をする年分の翌年1月1日から5年間です。
2025年に支払った保険料の控除を申告できなかった場合は、2026年1月1日から2030年12月31日までに手続きする必要があります。
個人事業主の場合
個人事業主の場合は、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をすることで、生命保険料控除の適用を受けられます。
控除証明書が間に合わず、期限内に生命保険料控除の申告ができなかった場合は、確定申告のやり直し(更生の請求)をしましょう。
更生の請求は、本来の確定申告期限から5年以内に「更生の請求書」を税務署に提出することで適用されます。
なお、確定申告の期限内であれば、控除証明書が届いたタイミングに確定申告書を再提出することもできます。
生命保険料控除証明書に関するよくある質問

最後に生命保険料控除証明書に関するよくある質問に回答していきます。
控除証明書はいつごろ届く?
控除証明書は、毎年10月から11月ごろに保険会社から発送されることが多いです。
保険会社や契約内容によって発送時期に差があるため、届かない場合は保険会社に問い合わせてみましょう。
電子交付を選択している場合は、郵送より早く確認できることもあるので、マイページやメール通知をチェックすることをおすすめします。
控除証明書がなくても控除を受けられる?
控除証明書がなければ、原則として生命保険料控除を受けられません。
控除証明書は控除額を計算するために必要な書類であり、年末調整や確定申告に添付する必要があります。
紛失した場合は、再発行や電子交付で証明書を取得し、適切に申告しましょう。
過去の控除証明書は再発行してもらえる?
保険会社は一般的に過去の控除証明書の再発行に対応しており、過去5年分は再発行可能としているところが多いです。
5年としている保険会社が多いのは、過去5年間であればさかのぼって申告できるためです。
確定申告をしていない給与所得者の場合は、還付申告によって過去5年間の生命保険料控除を申告できます。
、確定申告をしている個人事業主は、確定申告のやり直し(更生の請求)をすることができます。
更生の請求も、申告期限から5年以内の所得控除をさかのぼって申告が可能です。
なお、控除証明書の保管期間や再発行の可否は保険会社によって異なるので、まずは契約している保険会社に確認しましょう。
再発行の手続きに時間がかかることもあるため、余裕をもって申請することをおすすめします。
生命保険料控除証明書がない場合は再発行の申請をしよう
生命保険料控除を受けるには、年末調整や確定申告の際に証明書を添付する必要があります。
証明書がない場合は、保険会社に再発行の依頼をしたり、電子交付サービスを利用したりしましょう。
期限内に申告できなくても還付申告や更生の請求をすれば、後日還付を受けられるので、諦めずに再発行することをおすすめします。
確定申告や還付申告の流れ、相談先がわからない方は、お気軽にご相談ください。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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