退職金を運用したいけれど「どうすればいいかわからない」「リスクを抱えたくない」といった悩みをもっている方も多いのではないでしょうか。
退職金を貯金しているだけでは、物価上昇によって実質的な価値が目減りするリスクがあります。
ゆとりのある老後生活を送るためには、退職金を運用して資産を効率よく増やすことが大切です。
本記事では、退職金を運用したほうがいい理由やおすすめの運用方法を解説します。
運用する際のポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
退職金を運用したほうがいい理由

退職金を運用したほうがいい主な理由は、以下の3つです。
- 退職後の人生が長い
- 老後の新たな収入源を確保できる
- インフレ対策になる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
退職後の人生が長い
人生100年時代といわれる昨今、老後生活は想像以上に長くなります。
厚生労働省の「令和6年簡易生命表」では、日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.13歳であると公表されています。
定年退職後の生活が20年以上続く可能性があるなかで、公的年金だけでは生活費が足りず、退職金に頼らざるを得ないケースも少なくないでしょう。
しかし、退職金を切り崩すだけでは、老後資金が不足する可能性があります。
ゆとりのある老後生活を送るためには、退職金を運用して老後資金を増やすことが大切です。
老後の新たな収入源を確保できる
定年退職後は、収入が大幅に減少したり、年金以外の収入がなくなったりする方が多いでしょう。
しかし、退職金を運用すれば、新たな収入源を確保することができます。
たとえば、投資信託や株式投資を始めれば、定期的に配当金を受け取ることが可能です。
資産価値が低下するスピードを緩められるだけでなく、老後生活に対する精神的な安心感も得られるでしょう。
インフレ対策になる
インフレとは、モノやサービスの価格が上昇し、相対的にお金の価値が下がることです。
日本銀行は「2%の物価安定目標」を掲げており、2025年9月現在、目標を上回る物価上昇が続いています。
物価が上がると、これまでと同じ商品を購入する際により多くのお金が必要になり、相対的に資産価値が目減りしてしまいます。
インフレによる退職金の目減りを防ぐためには、退職金の一部を運用し、インフレ率を上回るリターンを目指すことが重要です。
退職金の運用方法5選

退職金のおすすめの運用方法は、以下の5つです。
- 投資信託
- 株式投資
- 個人向け国債
- 退職金定期預金
- 外貨預金
それぞれ詳しく解説します。
投資信託
投資信託は、運用の専門家が複数の投資家から集めた資金を株式や債券などに投資する金融商品です。
専門家が運用してくれるため、投資初心者でも始めやすいのが特長です。
少額から始められるうえに、個人では難しい分散投資をしやすいというメリットもあります。
一方で、元本が保証されていないため、運用の成果によっては損失が発生するリスクがあります。
大きな損失を受けないためには、長期・積立・分散投資を心がけることが大切です。
株式投資
株式投資は、企業が発行する株式を購入し、企業の利益の一部を配当金として受け取ったり、値上がりしたタイミングで売却益を得たりする投資方法です。
なかには、株主限定の優待品や割引サービスを提供している企業もあります。
ただし、企業の業績や経済の動向によって株価が変動するため、元本割れを引き起こすリスクがあります。
どの企業の株を買うかを決めるためには、専門的な知識が必要です。
企業の財務状況や事業内容、将来性などを分析したうえで、複数の企業や異なる業種の株に分散投資するようにしましょう。
個人向け国債
個人向け国債は、国が発行する個人を対象とした債券です。
他の金融商品と比べて利回りが低い傾向がありますが、満期まで保有すれば元本と利息が戻ってくるのが特長です。
ただし、購入後1年間は原則として換金できません。
また、中途解約をすると受け取れる利息が減ってしまうので注意しましょう。
退職金定期預金
退職金定期預金は、通常の定期預金よりも高い金利が設定されている退職金を対象にした預金プランです。
金融機関によっては、高い金利を適用する代わりに、退職金の一部を投資信託などの金融商品と組み合わせることを条件としている場合があります。
退職金定期預金は、預入期間が数ヶ月や1年と短く設定されていることが多いため、長期的な運用で利益を得たい方にはあまり適していないでしょう。
外貨預金
外貨預金は、日本円ではなく米ドルやユーロ、豪ドルといった外貨で銀行に預金する金融商品です。
為替レートが変動するため、円安になったタイミングに円に戻せば為替差益を得ることができます。
しかし、円高になると元本割れするリスクがあります。
日本円と外貨を交換する際には為替手数料もかかるため、手数料が安く設定されている金融機関を選ぶことが大切です。
退職金を運用するときのポイント

退職金を運用するときには、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
- 余剰資金を運用する
- 長期・分散投資を徹底する
- 新NISAを活用する
それぞれ詳しく解説します。
余剰資金を運用する
退職金を運用する際には、当面使う予定のない「余剰資金」を用いることが重要です。
退職金は老後生活を支える資金であるため、全額を運用に回すと急な出費に対応できなくなるリスクがあります。
生活費や医療費、旅行費用などの数年以内に必要となるお金は、いつでも引き出せる預貯金として確保しておくことが大切です。
数年以内に使う資金を除いて残った資金を運用に回せば、心理的な負担が軽減でき、冷静な判断で運用を続けられるでしょう。
長期・分散投資を徹底する
資産運用でリスクを抑え、安定したリターンを目指すためには「長期・分散投資」を徹底することが重要です。
短期間で売買を繰り返すのではなく、数十年という長い期間にわたって運用すれば、日々の価格変動に一喜一憂することなく、安定したリターンを狙えます。
また、運用で得た利益を再投資することで、複利効果を最大限に享受できるのも長期投資のメリットです。
1つの金融商品に集中して投資するのではなく、値動きの異なる複数の資産に資金を分ける分散投資も意識しましょう。
複数の金融商品に投資すれば、損失が発生したときに他の運用資産で補いやすくなります。
新NISAを活用する
退職金の運用を始める際は、新NISAを積極的に活用しましょう。
新NISAは、資産運用で得られた利益にかかる税金が非課税になる制度です。
通常、投資によって得た利益には約20%の税金がかかりますが、新NISAを利用すれば利益に税金がかからないため、手元に残る利益を増やすことができます。
効率的に資産形成を進めるためにも、新NISAを活用してみましょう。
退職金を運用して老後資金を効率よく増やそう
定年退職後の生活が20年以上続くと想定される昨今、退職金を運用して老後資金を効率よく増やすことが大切です。
退職金の運用方法には、投資信託や株式投資、個人向け国債などがあります。
運用方法によってリスクとリターンのバランスや運用の手間が異なるため、自身のライフプランやリスク許容度にあわせて適した方法を選びましょう。
老後資金に不安を感じている方や、資産運用を始めたい方はお気軽にご相談ください。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士


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