健康保険の任意継続を選んだものの、途中脱退を検討している方もいるのではないでしょうか。
健康保険の任意継続は、加入先に必要書類を提出することで途中脱退ができます。
ただし、途中脱退をして国民健康保険に加入すると、保険料が上がったり扶養家族の保険料が発生したりする可能性があるので注意が必要です。
そこで今回は、任意継続を途中でやめる際の手続きや注意点を紹介します。
健康保険の任意継続の脱退を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

健康保険の任意継続とは

健康保険の任意継続とは、退職した会社の健康保険に引き続き加入できる制度のことです。
退職すると、原則として会社の健康保険を脱退することになりますが、任意継続を選べば最長2年間継続して加入できます。
ただし、健康保険の任意継続で支払う保険料は、在職時のほぼ2倍となる点に注意が必要です。
在職時は会社側に保険料を半分負担してもらえますが、退職後は自身で全額負担することになります。
健康保険の任意継続は途中でやめられる

健康保険の任意継続は、加入先に必要書類を提出することで任意脱退ができます。
全国健康保険協会(協会けんぽ)では「資格喪失申出書」に加え、交付を受けている以下の書類を提出することで脱退できます。
- 被保険者証
- 資格確認書
- 高齢受給者証
- 限度額適用認定証
- 限度額適用・標準負担額減額認定証
- 特定疾病療養受療証
資格喪失申出書は、協会けんぽのホームページでダウンロードできます。
途中脱退の手続きや必要書類は、加入先によって異なるので、ホームページで確認しておきましょう。
健康保険の任意継続を途中でやめる際の注意点

健康保険の任意継続を途中でやめる際は、以下の点に注意しましょう。
- 健康保険への切り替えを早めに済ませる
- 脱退の取り消しや再加入は認められていない
- 扶養家族も同時に資格を喪失することになる
それぞれ詳しく紹介します。
健康保険への切り替えを早めに済ませる
日本では国民全員に健康保険の加入が義務付けられています。
そのため、任意継続を途中でやめる際は、空白期間ができないように健康保険への切り替えを済ませましょう。
任意継続脱退後の主な選択肢には、国民健康保険に加入する、もしくは家族の扶養に入る方法があります。
それぞれのメリット・デメリットは、以下の通りです。
任意継続脱退後の選択肢 | メリット | 注意点 |
国民健康保険に加入する | 減免制度がある | 扶養制度が利用できない |
家族の扶養に入る | 保険料の支払いが免除される | 収入制限がある |
保険料の負担を軽くしたい方は、国民健康保険の減免制度を利用したり、家族の扶養に入ったりすることも視野に入れましょう。
脱退の取り消しや再加入は認められていない
任意継続の脱退申出書を提出したあとは、原則として取り消しや再加入ができません。
先述した通り、任意継続の途中脱退の手続きをした場合は、国民健康保険に加入したり家族の健康保険の扶養に入ったりする必要があります。
「国民健康保険に変えたが、保険料が高い」という状況でも、任意継続に戻すことはできません。
任意継続の脱退手続きをする前に、各健康保険の保険料や保障内容を比較したうえで、自分に合った加入先・加入方法を選択しましょう。
扶養家族も同時に資格を喪失することになる
退職前の会社の健康保険で家族を扶養に入れていた場合は、任意継続によって扶養制度も引き継ぐことができます。
ただし、任意継続を脱退することになれば、扶養家族も資格を失うことになるので注意が必要です。
国民健康保険には扶養制度がないため、家族そろって国民健康保険に切り替えると、今まで負担する必要のなかった家族の保険料まで発生することになります。
扶養家族がいる場合は、保険料の負担を考慮したうえで脱退するかを決めましょう。
健康保険の任意継続に関するよくある質問

最後に健康保険の任意継続に関するよくある質問に回答していきます。
任意継続を利用するメリット・デメリットは?
任意継続を利用するメリットには、以下のようなものがあります
- 国民健康保険にはない独自の給付を受け取れる場合がある
- 扶養家族の保険料がそのまま免除される
- 退職の手続きとまとめて申請できる
独自の給付を受け取れるかは、加入先や会社によって異なるので確認しておきましょう。
任意継続には、メリットだけでなく、以下のデメリットもあります。
- 保険料を全額負担することになる
- 退職後20日以内に手続きしなければならない
- 国民健康保険より保険料が高くなる場合がある
メリット・デメリットの両方を比較したうえで、任意継続を利用するか、他の健康保険に切り替えるか検討しましょう。
任意継続を途中でやめたら返金される?
任意継続を途中で脱退した場合でも、先に納付を済ませていた分の保険料は返還されます。
保険料の還付を受けるための手続き方法は、加入先によって異なるので、ホームページで確認しておきましょう。
申出書を提出したらどのくらいで脱退できる?
任意継続の途中脱退は、申出書が受理された翌月1日に反映されるケースが多いです。
そのため、月末に申出書を提出して翌月に受理された場合は、脱退に1ヶ月かかることになります。
翌月から別の健康保険へ切り替えたい場合は、早めに手続きを進めましょう。
任意継続と国民健康保険はどっちがいい?
任意継続を利用すべきか、国民健康保険に切り替えるべきかは、人によって異なります。
任意継続と国民健康保険の違いは、以下の通りです。
任意継続 | 国民健康保険 | |
保険料 | ・退職時の標準報酬月額をもとに算出 ・全額自己負担 ・保険料は原則2年間変わらない | ・前年の所得に基づいて算出 ・全額自己負担 ・所得額に応じて変動する場合がある |
扶養制度 | あり | なし |
加入期間 | 最長2年間 | 74歳以下まで |
家族が扶養に入っていた場合は、任意継続を選んだ方が保険料の負担を抑えやすい傾向があります。
任意継続から国民健康保険に切り替えるにはどうしたらいい?
任意継続から国民健康保険に切り替えるには、自治体の担当窓口で手続きをする必要があります。
手続き方法は自治体によって異なり、窓口やオンライン申請、郵送での手続きを受け付けているケースが多いです。
国民健康保険に加入するには「任意継続の資格喪失証明書」と「本人確認書類」の提出が必要です。
自治体のホームページで手続き方法や必要書類を確認したうえで切り替えましょう。
任意継続を途中でやめる場合は健康保険の切り替えを早めに済ませよう
健康保険の任意継続は、加入先に必要書類を提出することで途中脱退ができます。
任意継続を途中でやめる場合は、次の健康保険への切り替えを早めに済ませる必要があります。
そのため、脱退の手続きをする際は、あらかじめ脱退後の加入先を決めておくことが大切です。
健康保険の任意継続を脱退するための手続きや、健康保険の加入先・加入方法の違いがわからない方はお気軽にご相談ください。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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