自転車を利用している方のなかには「自転車保険の加入は義務なのか」「未加入の場合に罰則があるのか」といった疑問をもっている方もいるのではないでしょうか。
自転車事故は、死亡事故や重い後遺症につながる可能性があり、高額な賠償責任を負うこともある重大なリスクです。
そのため、多くの自治体が条例によって自転車保険への加入を義務付けています。
本記事では、自転車保険の加入義務化地域や対象者、未加入の罰則の有無を解説します。
自転車保険に加入するメリットや加入時のポイントも解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

自転車保険は条例によって加入義務化が進んでいる

自転車事故は、被害者を死亡させたり重度の後遺障害を負わせたりすることがあり、裁判で数千万円から1億円近い賠償金の支払いが命じられるケースもあります。
そのような状況に備えるために、自転車保険への加入を義務付ける条例を設けている自治体が多いです。
ここでは、自転車保険の加入義務化地域と加入義務対象者について詳しく解説します。
自転車保険の加入義務化地域
自転車保険の加入義務化は、2015年に兵庫県で導入されて以来、全国の自治体に広がっています。
2025年12月3日現在、全国の加入義務化状況は以下のとおりです。
| 条例の状況 | 該当する都道府県 |
| 義務 | 宮城県、秋田県、山形県、福島県、群馬県、栃木県、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、山梨県、長野県、新潟県、石川県、福井県、静岡県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、岡山県、広島県、山口県、香川県、愛媛県、福岡県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県 |
| 努力義務 | 北海道、青森県、岩手県、茨城県、富山県、和歌山県、鳥取県、徳島県、高知県、佐賀県 |
| 未制定 | 島根県、長崎県、沖縄県 |
自転車保険への加入は、多くの自治体で条例によって義務や努力義務とされています。
努力義務は、義務ではないものの、社会的責任として加入が強く推奨されている状態を指します。
万が一の事故に備えるためにも、加入義務地域外に住んでいる方も加入を検討するのがよいでしょう。
なお、居住している自治体が加入義務地域でなくても、通勤先や通学先を所轄する自治体が義務化していることがあるので確認しておきましょう。
自転車保険の加入義務対象者
自転車保険の加入義務対象者は、以下のとおりです。
- 自転車利用者
- 保護者
- 事業者
- 自転車貸付業者
未成年者が自転車を利用する場合は、保護者が保険に加入します。
従業員が業務で自転車を利用する企業では、業務中の事故をカバーできる施設賠償責任保険や業務用自転車専用の保険への加入が推奨されます。
自転車貸付業者は、自転車の整備不良による事故や、利用者による事故が発生した場合に備えて、施設賠償責任保険や利用者の賠償責任を補償できる保険に加入しましょう。
自転車保険に未加入の場合はどうなる?

自転車保険への加入が条例で義務化されていても、未加入者に対する罰則は原則として設けられていません。
しかし、罰則がないからといって加入しなければ、自転車事故を起こした際に高額な賠償金を自己負担しなければならず、経済的に破綻するリスクがあります。
高額な損害賠償責任から生活を守るためにも、自転車保険に加入しておきましょう。
自転車保険に加入するメリット

自転車保険に加入することには、以下のようなメリットがあります。
- 高額賠償リスクに備えられる
- 自身や家族のケガの治療費をカバーできる
- 事故発生時の示談交渉を代行してもらえる
それぞれ詳しく解説します。
高額賠償リスクに備えられる
自転車事故は、被害者を死亡させたり重度の後遺障害を負わせたりといった重大な事態を招きかねません。
その結果、加害者には数千万円から1億円近い高額な損害賠償責任が発生するケースもあります。
自転車保険に加入していれば、自己破産にもつながりかねない高額な賠償リスクに備えることができます。
自身の生活を守るためにも、居住地が加入義務対象地域でない方も自転車保険に加入しておくのがよいでしょう。
自身や家族のケガの治療費をカバーできる
自転車保険のなかには、賠償責任の補償に加えて、契約者や家族が自転車事故で負傷した際の補償が含まれている商品もあります。
事故によって通院や入院、手術が必要となったときに保険金が支払われます。
自転車保険に加入すれば、加害者となったときの高額な賠償リスクだけでなく、被害者となった場合のケガの治療費もカバーできるので安心です。
事故発生時の示談交渉を代行してもらえる
事故を起こしてしまったときの示談交渉は、心身ともに大きな負担になります。
賠償額の算定や過失割合の決定といった専門的な知識が必要となることもあります。
自転車保険に加入していれば、保険会社が代わりに被害者と交渉し、示談を成立させるまでサポートしてくれるので安心です。
自転車事故に備えられる保険

自転車事故に備えられる保険には、以下のようなものがあります。
| 保険の種類 | 概要 | 補償対象 |
| 自転車保険 | 保険会社が提供する自転車事故に特化した保険 | ・相手への賠償責任・自身や家族のケガ |
| 個人賠償責任保険 | 火災保険や自動車保険、傷害保険の特約として付帯するケースが多い保険(単体契約も可能) | ・相手への賠償責任・自転車事故以外の日常生活における賠償事故 |
| TSマーク付帯保険 | 自転車安全整備士による点検・整備を受けた自転車に貼付される「TSマーク」に付帯する保険 | ・相手への賠償責任・自身の死亡または重度後遺障害・被害者見舞金 |
| クレジットカード会員向けの自転車保険 | クレジットカード会社が提供する自転車保険 | 商品によって異なる(相手への賠償と自身のケガに対する補償がセットになっているものが多い) |
補償内容は、保険会社や商品によって異なるため、契約内容を確認したうえで加入しましょう。
自転車保険に加入する際のポイント

自転車保険に加入する際は、補償内容に過不足がないかをチェックしたり、有効期間や継続方法を確認したりすることが大切です。
ここでは、自転車保険に加入する際のポイントを詳しく解説します。
補償内容に過不足がないかを確認する
自転車保険に加入する際は、補償内容に過不足がないかを確認することが大切です。
相手への賠償限度額は、高額賠償責任に備えて1億円以上にすることをおすすめします。
補償対象は、契約者本人だけでなく同居の家族全員を含んでいるかをチェックしましょう。
賠償責任の補償は、複数の保険で重複して備えていても実損額しか支払われません。
たとえば、5,000万円の損害賠償責任が発生した場合、火災保険の特約と自転車保険の両方で1億円の賠償責任補償に加入していても、支払われる保険金の上限は実損額の5,000万円までとなります。
保険料の無駄を防ぐためには、自転車保険を契約する前に既存の火災保険や自動車保険などの特約の有無を確認することが重要です。
ただし、火災保険や自動車保険に付帯の個人賠償責任保険では、相手への賠償のみで自身のケガが補償されないケースが多いです。
自身のケガの治療費に備えるには、別途、ケガ補償付きの自転車保険に加入する必要があります。
補償の有効期間と継続方法を確認する
自転車保険は、補償が途切れないように継続的に加入することが重要です。
TSマーク付帯保険は有効期限が1年間と短いため、毎年点検・整備を受ける必要があります。
火災保険や自動車保険の特約で備えている場合は、主契約を解約すると特約も失効するので注意が必要です。
更新忘れを防ぐためには、自動更新に対応している商品を選ぶのがおすすめです。
自転車保険の有効期間と継続方法を把握し、補償のある状態を維持しましょう。
まとめ
自転車保険の加入義務化は、全国に拡大しており、多くの自治体で条例によって義務または努力義務とされています。
自転車事故は、高額な損害賠償に発展するリスクがあるため、自転車保険で備えておくことが大切です。
自転車保険に加入すれば、高額な賠償リスクに備えられるだけでなく、自身や家族のケガの補償を受けられたり、事故発生時の示談交渉を代行してもらえたりします。
未加入であっても罰則はありませんが、事故リスクに備えるためにも、自転車保険への加入を検討しましょう。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士


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