新NISAで資産運用を始めたものの、お金が必要になったときに途中で引き出しても問題ないのか疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
新NISAはいつでも好きなタイミングで引き出す(売却する)ことが可能です。
ただし、無計画に引き出すと本来得られたはずの利益を逃す可能性があるため、売却後の影響を理解したうえで判断することが大切です。
今回は、新NISAを途中で引き出す手順やデメリット、売却前に確認したいチェックポイントを詳しく解説します。
「今のタイミングで現金化しても損をしないか」「将来の資産形成にどう響くのか」が気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。

新NISAは途中で引き出せる?

新NISAで運用している資産は、好きなタイミングで売却して現金化できます。
急な出費やライフイベントに合わせて柔軟に引き出せるので、資金が拘束される心配がありません。
新NISAには「一生涯で1,800万円まで」という非課税投資枠(投資できる上限額)が設定されており、商品を売却すると、取得金額分の非課税投資枠が翌年以降に再利用できるようになります。
非課税投資枠の再利用は、再び投資枠を利用できない旧NISAになかった仕組みです。
一方、同じ資産運用で活用できる制度のiDeCoの場合は、原則60歳以上まで引き出すことができません。
急な出費が発生したときや目標金額に達したときなど、個人のライフスタイルに合わせて柔軟に資産を活用したい方は、新NISAを利用するのがおすすめです。
新NISAを途中で引き出す手順

新NISAを途中で引き出す一般的な手順は、以下の通りです。
- 売却する商品を選ぶ
- 売却する金額・口数を指定する
- 証券口座から銀行口座への出金手続きをする
実際の流れは、利用している証券会社によって異なるため、公式サイトなどで確認しておきましょう。
ここでは、一般的な流れを詳しく紹介します。
1.売却する商品を選ぶ
新NISAでは、全額を売却して解約したり、必要な分だけを一部売却したりできます。
一部売却をする際は、保有銘柄から売却する商品を選択します。
新NISAには、つみたて投資枠と成長投資枠があり、どちらの枠で購入した商品であっても自由に売却できます。
複数の銘柄を保有している場合は、現在の運用状況を確認して売却する商品を決めましょう。
2.売却する金額・口数を指定する
売却する商品が決まったら、売却金額または口数を指定します。
「10万円分だけ現金化したい」という場合は金額指定、「保有している投資信託の半分を売りたい」という場合は口数や数量を指定して注文を出すのがよいでしょう。
注文を確定させると売却手続きに移りますが、この時点では証券口座に現金が入ったわけではありません。
売却注文が成立(約定)し、受渡日が到来することで、初めて証券口座内の預り金(現金)として反映されます。
なかには、売却代金が証券口座に反映されるまでに2~5営業日かかる証券会社もあります。
3.証券口座から銀行口座への出金手続きをする
商品の売却代金が証券口座内に反映されたら、銀行口座への出金手続きをします。
証券口座にお金があるだけでは、買い物や支払いには使えません。
証券会社の多くは、出金手続きをしてから銀行口座に着金するまで、通常1〜2営業日ほどかかります。
土日祝日を挟む場合はさらに時間がかかるため、お金が必要になる日程から逆算して、余裕をもって手続きを進めましょう。
新NISAを途中で引き出すデメリット

新NISAを途中で引き出すデメリットには、以下のようなものがあります。
- タイミングによっては損失が出る
- 複利効果が弱まる
- 現金化に時間がかかる
- 手数料がかかる商品がある
それぞれ詳しく解説します。
タイミングによっては損失が出る
新NISAを途中で引き出す際は、売却時の市場状況によって元本割れを起こす可能性があります。
投資信託や株式の価格は常に変動しており、購入時より価格が下がっているタイミングで売却すると、投資金額を下回った金額で取引が成立してしまう場合があります。
一時的な暴落があっても保有し続ければ回復する可能性がありますが、途中で引き出すと損失が確定してしまうので注意が必要です。
運用を始めて間もない時期や、世界的な経済不安が起きているタイミングでの売却は、資産を減らすリスクが高いことを認識しておきましょう。
複利効果が弱まる
新NISAの資産を途中で引き出すと、効率的な資産形成に欠かせない複利効果が弱まります。
複利とは、運用益を再投資することで、得られた利益がさらなる利益を生んで資産が増えていく仕組みのことです。
一方、途中で売却すると、運用に回る元本が減り、得られるはずだった利益が少なくなります。
安易に引き出せば、数十年後の目標金額に届かなくなる可能性があるため、引き出すタイミングを慎重に判断することが大切です。
現金化に時間がかかる
新NISAの資産は銀行預金のように即日引き出すことができません。
一般的に、売却注文を出してから証券口座へ入金されるまでに2~5営業日、証券口座から銀行口座へ送金されるまでにさらに1~2営業日を要します。
証券会社や銘柄によって異なるものの、注文から着金までにトータルで3営業日から1週間程度かかることが多いです。
そのため、明日までにお金が必要というケースには対応できません。
冠婚葬祭や急な病気など、緊急時の資金(生活防衛資金)をすべて新NISAに入れると、必要なときに資金を準備できない事態を招く恐れがあります。
そのような状況にならないためにも、緊急用の資金を銀行預金として準備しておきましょう。
手数料がかかる商品がある
多くの投資信託は売却時の手数料を無料としていますが、なかには「信託財産留保額」というコストが発生する銘柄があります。
金額は売却額の0.1%〜0.5%程度と少額であることが多いですが、頻繁に売買を繰り返すと利益を削る要因になる恐れがあります。
保有している商品に信託財産留保額が設定されていないかを目論見書や公式サイトで確認しておきましょう。
新NISAを途中で引き出す前にチェックしたいこと

新NISAを途中で引き出してもいいのか悩んでいる場合は、以下のことをチェックして適切なタイミングなのかを判断しましょう。
- 投資目的と目標金額
- その他の資産
- 途中売却以外の選択肢
それぞれ詳しく紹介します。
投資目的と目標金額
新NISAを売却するときは、当初の目的と目標金額を振り返りましょう。
目的と目標金額を達成したのであれば、引き出すタイミングといえます。
「増えたから利確したい」という理由であれば、非課税運用のメリットを最大限活かせない可能性があります。
途中で引き出す必要性があるのかを、当初のライフプランと照らし合わせて判断しましょう。
その他の資産
現金を確保するために新NISAの途中売却を検討している場合は、普通預金や定期預金などが手元にどれほどあるかを確認しましょう。
投資資産を売却するよりも、手元の現金を活用するほうが、運用の複利効果を維持できます。
現金での備えができているのであれば、新NISAを売却せずに運用を継続することをおすすめします。
現金が底をつき、借金をするような状況に陥っているのであれば、新NISAを活用する場面といえます。
途中売却以外の選択肢
どうしてもお金が足りない場合は、売却以外に道がないか探しましょう。
毎月の積立額を一時的に減額したり、停止したりすることも選択肢の一つです。
この方法であれば、すでに運用している資産が増えていく可能性があります。
家計が苦しい時期は積立を休み、余裕ができたら再開するという柔軟な運用を検討しましょう。
積立金の減額や積立の停止をしても、家計が苦しい場合は、必要な金額だけ売却するといった段階を踏むことをおすすめします。
新NISAの途中売却はデメリットを知ったうえで検討しよう
新NISAはいつでも引き出すことができますが、売却のタイミングによっては元本割れを起こしたり、将来得られるはずだった複利効果を弱めたりするデメリットがあります。
一時的な資金不足や不安から安易に売却する前に、家計状況を見直し、売却以外の選択肢も含めて冷静に判断することが大切です。
新NISAの運用継続や引き出しのタイミングで迷っている方は、お気軽にご相談ください。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士


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